経営者向け 羅針盤セミナー第3回「未来の羅針盤 ~カオスの大海を、経営者はいかに航るのか?~」を開催しました(11/7・東京)
- webteam69
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アミタホールディングス株式会社は、2025年11月7日(金)に企業経営者向けセミナーシリーズ「不確実な時代の未来指針を示す 羅針盤セミナー」の第3回を開催しました。
本セミナーは「経済大国から循環大国へ」を全体テーマに、資本主義・時代・未来の視点から価値創出の仮説を探る全4回シリーズです。第3回は「未来の羅針盤 ~カオスの大海を、経営者はいかに航るのか?~」をテーマに掲げ、企業経営者を中心に、会場・オンラインあわせて110名の方々にご参加いただきました。
(第3回のプログラムはこちら)
当日は、「制約と混沌の時代に、いかに新たな秩序と美意識を生み出すか」という問いのもと、会場では熱量に満ちた対話が繰り広げられました。セミナー後のアンケートでは、参加者の約9割から「とても満足」「満足」との回答をいただきました。

法政大学名誉教授・元総長の田中優子氏(江戸東京研究センター特任教授)は、「生活価値の羅針盤」をテーマに、江戸時代の社会を例に挙げ、制約から生まれる創造力について語りました。田中氏は、気候や季節、政治的規制、資源不足といった「制約」が文化と美意識を育んだという見方を共有。奢侈禁止令下で生まれた「粋(いき)」の美や古着の循環などを紹介し、「江戸の人々は制約を編集し、美へと昇華していたのではないか」と述べました。さらに、着物文化を通じて「自然が人間を通して自己を表現していた」との視点を提示し、現代における「制約を生かす創造性」の可能性に触れました。
法律家・弁護士の水野祐氏(シティライツ法律事務所)は、「法理の羅針盤」と題し、ルールを「制約」ではなく「創造の装置」として捉える視点を紹介しました。著書『法のデザイン』をもとに、社会変化に法が追いつかない「Law Lag(法の遅れ)」に言及。「グレーゾーンこそ社会課題の宝庫であり、そこに挑むことがイノベーションを生む可能性がある」と述べました。また、AIや自然への法人格付与の議論を例に挙げ、「人間以外にも主体を認める新たな法体系が、未来を拓く契機になり得る」との見解を示しました。
文化人類学者・デザイン人類学者の中村寛氏(多摩美術大学リベラルアーツセンター/大学院教授、アトリエ・アンソロポロジー合同会社代表)は、「記憶価値の羅針盤」をテーマに、人類学とデザインの交差点から未来社会の価値創造を探りました。中村氏は、暴力・不安・正義などを再考し、「構造的暴力を見つめ直すことが優雅な社会への第一歩」と問題提起。AIやテクノロジーを主体として捉える「存在論的転回」の潮流にも触れ、環境や非人間的存在に声を与える「万物の議会」や修復的司法(リストラティブ・ジャスティス)の実践を紹介しました。また、「未来の創造には、治療的正義と物や自然との共話を取り戻す感受性が求められる」と述べました。
パネルディスカッションでは、登壇者3名とナビゲーターの熊野英介(アミタホールディングス株式会社 代表取締役会長 兼 CVO)が「価値・法・美意識の再定義」について意見を交わしました。
熊野は「日本人が自然や怨霊を、“畏れ”として敵と見なすのではなく、自己に取り込み、創造に転じてきたように、AIへの“恐怖”をも価値変換できるかが問われている。」と提起。田中氏は「自然が人間の中に入り込み、表現として現れる文化的力」について言及し、水野氏は「AI生成物に権利を与えるか否かも、社会全体の利益から制度設計すべき」と意見を重ねました。中村氏は「AIへの不安は未知の存在への反応であり、恐怖の対象を社会的対話に転換できるかどうかが、次の文明を決める」と述べました。
議論は、法・文化・テクノロジー・倫理を横断しながら、「経営者自身が編集力を生かし、どのような未来を描くかを問い直すこと」の重要性へと収束しました。
クロージングで熊野は「近代は個人を守ったが、未来は関係性を守る時代になるかもしれない」と展望を語りました。AIについては「使う側か使われる側かを冷静に見極めないと、標準化によって市場が均質化する危険がある」と指摘。さらに「細胞が死ぬことで再生力を得るように、ビジネスも循環的関係で代謝する力が必要」との考えを示しました。
最後に熊野は、「価値を創る自由こそ事業家の原動力であり、未来の羅針盤は『繋がり』『創造』『文化の力』の中にある」とまとめ、「未来は間違いなくやってくる。その準備運動だけはしておくべきだ」と呼びかけました。
当日内容の詳細は、近日中にレポートを公開予定です。また、参加者からは以下のような声が寄せられました。(一部編集・抜粋)
未来の企業価値は「社会や顧客にとって意味のある存在であるか」という視点での考察が必要だと感じた。
事実から目を背けたくなる事もあるが、角度を変えて事実を見ると新しい発想が生まれることがある。リフレーミングが重要だと考える。
人類が作ったAIが成長する未来を理解し、どうパートナーとしてうまく付き合っていくかが、この先の時代の新たな価値創出に重要である。
第4回のご案内
【テーマ】羅針盤シリーズ総括 経営哲学の羅針盤
理性の先を問われる時代と、資本主義の転換点が重なる今、我々経営者は、いかなる未来を創造し得るのか?これまでの「資本主義」「時代」「未来」の羅針盤を振り返り、事業家の視点から社会の理想の先を総括します。シリーズの集大成となる最終回を、ぜひお見逃しなく。
【日時】2025年12月4日(木)16:00~18:00
【会場】アミタホールディングス株式会社 東京オフィス(御茶ノ水駅1分)
【登壇者】
熊野 英介(アミタホールディングス株式会社 代表取締役会長 兼 CVO)
【質問者】末次 貴英(アミタホールディングス株式会社 代表取締役社長 兼 CIOO)
【質問者】宮原 伸朗(アミタ株式会社 取締役)
【対象】
会場参加:企業経営者(完全招待制)
オンライン参加:経営企画、R&D、調達・サステナビリティ部門等の責任者・ご担当者
▶オンラインのお申込みはこちら:
当日ご取材を希望されるメディア関係者様へ
会場参加は企業経営者限定(招待制)ですが、メディア席をご用意しております。ぜひご取材ください。
※席数に限りがあるため、オンラインでのご案内になる場合がございます。予めご了承ください。
取材申込み・お問い合わせ:press@amita-net.co.jp
(アミタホールディングス株式会社 広報担当)________________________________________
多くの皆様のご参加をお待ちしております。